病院勤務から訪問リハビリの領域に転職してくる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が増えてきている。現在、訪問リハビリテーションの領域で働いている立場から、転職先としての訪問リハビリテーションのことをまとめてみた。2015年現在で臨床経験24年、訪問歴10年の経験です。
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訪問リハビリテーションに転職するわけ
回復期リハビリテーション病棟・病院で働いている理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の方で、病院で常勤として働きながら、訪問リハビリテーションでアルバイトしている人も結構います。特に365日リハビリテーションを採用している病院の若手セラピストが、平日の休みの日を利用してアルバイトしているというパターンも多い。
- 365日リハビリテーション
- 回復期リハビリテーション
- 疾患別リハビリテーション
など診療報酬改定ごとに理学療法、作業療法、言語聴覚療法に関する診療報酬は変化しています。病院で勤務している理学療法士や作業療法士、言語聴覚士はそれに振り回されていろいろ大変だといっても間違いではないでしょう。
病院勤務の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のほとんどの給与体系は月給制。だから、診療報酬が変化したからと言ってお給料が急に変わるわけではありません。
だから、最近は「忙しくなった割りにはお給料は変わらない」ということで、病院勤務を続けながらアルバイトとして訪問リハビリに関わる人が増えているのではないかと推測しています。
訪問リハビリテーションの給与体系
基本的には
- 月給制
- 完全歩合制
- 月給+歩合制
この3パターンを採用している事業所が多いようです。
歩合制の場合も事業所によって違いがあります。
- 完全歩合:訪問件数に応じてお給料が変化する
- 時給に近い歩合:訪問先のキャンセルがあっても、一定の時給を出してくれる。(勤務していれば訪問件数0でも給与発生する)
- 月給+歩合制のところも
- 訪問件数に関係なく一定の月給が支給され、一定件数を上回った分が歩合として毎月支給される。
- 基本は月給で、歩合の部分を年2回のボーナスとして支給される。
など事業所によって異なっています。訪問件数が増えれば増えるほど、お給料が増えるというシステムの事業所が多いようです。
そのような点を魅力に感じてアルバイト先、転職先として選んでいる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も多いようです。しかし、このことについては賛否両論あります。訪問件数を増やせば当然セラピストは疲れますので、リハビリの内容・質が低下するという意見もあります。
歩合給の相場はこんな感じ
介護保険では20分、40分、60分の訪問のパターンがありますので単純に比較できませんが、40分くらいの訪問だと2000円前後くらいが多いですね。
医療保険や介護保険の60分の訪問だと2500円とか3000円くらいまでかな。
臨床24年、訪問歴10年くらいの経験がある私の場合でも歩合だと最高で1件4000円くらいです。
訪問リハビリテーションという仕事
訪問リハビリテーションに関しては研究所のコラムサイトやまだリハビリテーションらぼでのいくつか書いています。 病院での仕事をそのまま持ち込んで仕事するというように考えている方にとっては、ちょっと違う世界です。
訪問に初めてかかわった方が一番はじめに実感するのは
- 一軒一軒移動して仕事をする
- 季節やお天気などによって、移動の大変さがある
- 基本的には一人ですべてをする
- リハ中のトラブルも自分で何とかする
病院と違うことを列挙すればキリがありません。
仕事の優劣や大変さを比較するのは難しいですが、あえて訪問領域の難しさをもう少し加えるとすれば・・・
一人で仕事をする
事業所に戻れば同僚もいますが、訪問中は周りにはセラピストはいません。一人っきりです。
病院では、自分が仕事をしている周囲には理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がいます。困ったときにはすぐに助言してもらえます。
訪問では、多くのことを一人で判断して仕事をします。病院とはかなり違います。
時間を区切って仕事ができる
私は複数の訪問看護ステーションに勤務している。どちらの訪問看護ステーションにも主婦や子育て中のママさんセラピストがいます。
病院での業務と異なり、訪問の現場は一軒一軒患者さんの家に出向いて仕事をする。
それぞれの家で何分リハビリを実施するのかということも決められている。
- 〇時〇分にはAさんの家
- 〇時〇分にはBさんの家
というように訪問する曜日や時間が決まっている。このことは、子育て中のママさんには非常に大きなメリットである。
- 子供を保育園に送っていってから、出勤したい
- 保育園や幼稚園に行ってる時間帯だけ勤務したい
- 半日だけは実家の両親が子供を見てくれるので、半日だけ働きたい
- 毎日は無理だから週2日だけ働きたい
というような勤務形態が可能となるからである。
残業が少ない
「どの曜日の何時ごろに誰の家に訪問する」ってことが決まっているのが訪問リハビリの仕事。
病院でも訪問でも急変する患者さんはいるが、そんなにしょっちゅう急変することはない。だから、だいたいは定時に仕事を終わることができる。
じっさいに、私が勤務している訪問看護ステーションの理学療法士、作業療法士、言語聴覚士さんたちはほぼ定時に業務を終えている。訪問リハビリの診療報酬は、時間に応じて決まっているので、長くいればいるほど診療報酬が増えるというものではなく、上限は決まっている。だから、急変などを除けば、長く訪問することによるメリットは少ない。
訪問リハビリの将来的な展望
訪問リハビリテーションだけに言えることではありませんが、介護保険にしろ医療保険にしろ、診療報酬改定のたびに訪問のリハビリテーションの単価も変動します。
自分たちで訪問の料金を設定することはできません。
私が勤務している事業所は完全歩合ですが、1件当たりの訪問での私の給与報酬は診療報酬が下がれば少し下がることになっています。
高齢者が増えてくる現状で、訪問リハビリテーションが不要になる時代は来ないとは言えます。
訪問リハビリテーションが不要にならないという事と、訪問リハビリテーションが稼げるということは違います。
小さな事業所だとお客を集められなければつぶれてしまいますし、診療報酬が下がればお給料も少し下がるでしょうし、そのあたり、自分たちで訪問の金額を決めることができない弱さがどうしても残ります。
あえて、予測するとすれば、ここ数年は大丈夫だけど、5年後はどうなっているかわからないとしか言えません。
訪問リハビリやってみませんか?
非常勤で時間を区切って働いてみたい、子育て中なので時間や曜日が決まっている仕事がしたい、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士には向いています。
また、月給ではなくて自分の働いたぶんが評価される完全歩合給で働いてみたいって方には訪問看護ステーションや訪問リハビリテーション事業所はぴったりです。
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