介護保険の基本的なことを知っていますか?
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介護保険の基本的なことを知っていますか?

地域リハビリテーションのことを学ぶ上では、介護保険のことは外せません。でも意外ときちんと理解している理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は少ないようです。

回復期リハビリテーション病棟・病院で働いていると、ソーシャルワーカーや相談員さんたちが説明していると思っていたりしませんか?もしくは、上司だけが知っていればいいって勘違いしている若手の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の方も多いのではないでしょうか?

介護保険はいつ申請する?

誰もが持っている医療保険の保険証と違って、介護保険の保険証は高齢者の方がいつでも使えるって訳ではありません。きちんと申請して手続きしないと利用することはできないのです。

介護保険の申請をしてから介護保険を利用することができるまで、約1か月かかると言われています。回復期リハビリテーション病棟・病院に入院している患者さんが、退院するときに申請すると、退院してすぐに介護保険のサービスを利用することができないってことです。

だから、回復期リハビリテーション病棟や病院を退院して、すぐに在宅に戻られた患者さんが介護保険のサービスを利用するためには、退院間際ではなく入院して間もないタイミングで介護保険の申請を行う事が望ましいのです。

介護保険を使える人

医療保険はだれでも使えますが、介護保険は高齢者だというだけでは申請しても介護保険のサービスを利用することができません。

65歳以上の方

年齢が65歳以上の方で、下記の条件を満たせば介護保険のサービスを利用することができます。

  • 介護保険を申請し「要支援」または「要介護」の認定を受けた

65歳以上であって、皆保険の申請をしても要介護度の判定結果が『自立』と判定された場合は、介護保険のサービスを利用することはできません。

40歳以上65歳未満の方

40歳以上、65歳未満の方で下記の条件を満たせば介護保険のサービスを利用することができます。

  • 介護保険を申請し「要支援」または「要介護」の認定を受けた
  • 次に掲載する16の疾患が原因で要介護状態であること
1. 末期がん(医師が、一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがな
 い状態に至ったと判断したもの)
2. 筋萎縮性側索硬化症
3. 後縦靭帯骨化症
4. 骨折を伴う骨粗しょう症
5. 多系統萎縮症
6. 初老期における認知症
7. 脊髄小脳変性症
8. 脊柱管狭窄症
9. 早老症
10. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
11. 脳血管疾患(外傷性を除く)
12. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
13. 閉塞性動脈硬化症
14. 関節リウマチ
15. 慢性閉塞性肺疾患
16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

65歳以上であれば、どのような疾患であっても要介護認定を受けることができれば介護保険のサービスを利用できます。しかし40歳以上64歳までの方の場合は、要介護状態であっても上記の16の疾患でない場合には介護保険のサービスを受けることができないのです。

また、40歳未満の方の場合はどのような状態であっても介護保険のサービスを利用することはできません。

介護保険の基本「まとめ」

回復期リハビリテーション病棟に勤務する理学療法士や作業療法士、言語聴覚士や看護師の方が知っておいていただきたいことは、

  • 申請しなければ介護保険は使えない
  • 年齢や疾患によっては利用できない場合がある
  • 退院する1か月以上前には申請する必要がある
担当患者さんが退院後にスムースに地域リハビリテーションを受けるためには最低限このことをご理解ください。